わたるんといっしょ
「調子ぶっこいてんじゃねえぞ、三下が」
苛立ち気な声を聞いた。
「げほっ、げほっ」
それと同時に、首への負荷がなくなったものだから、背を丸めて咳をする。
涙目になり、雨でも歪む視界の中でも、渉には分かった。
“助けてくれるくせに”――
そんな、渉の家族。
「とう、ま、さ……」
灰色着物に、錦鯉が袖を泳ぐ羽織を着た痩身がそこにいた。
ぽっくり下駄により更に高くなった身長が、一度渉を見下すように顔を向けたが、すぐに前を見る。
「俺の庭で何してんだよ、おのぼりか、おい?俺(こっち)のルールぐれえ、覚えてから来やがれ、クソ雑魚」
右手で傘を――無数の骨組みがほどこされた和傘をさしながら、左手は怪異の首を絞めている。