わたるんといっしょ
ならば、冬月やあの青年は、ブリュンとテレサそれぞれの恐怖であるからにして。
「単なる幻だよ。いいようにこけにされて、ハッ、ざまあねえな」
藤馬が目配せした先には横たわるテレサ。意識を取り戻したのか、僅かに体が動く。
「獲物が恐怖すればするほど、魔縁は付け上がる。恐怖に恐怖(幻)塗りたくって、そいつが思うような“嫌なこと”を演出しちまうわけだが」
それが効かない藤馬は、『怖いものなし』というところなんだろう。
己の弱さを認めたくなかったブリュン。
言われたくはないことを面と向かって言われたテレサ。
どちらも“そんなことで”と言えそうだが、呑まれたら最後、餌食となる。
ブリュンの剣が砕けたように、テレサの召喚が失敗したように、恐怖は負を招くばかり。勝てる敵でさえも、勝てないと思ってしまえば、元も子もないんだ。
恐怖に負けたとはつまり、己に負けたと同義。渉のように気張ってみせれば、魔縁の幻も看破できただろうに。