わたるんといっしょ
「茶化しに行けば、ガキのことしか頭にねえ女のパシり要員。本気でてめえを殺しに来たわけだが、携帯電話だけ置いていねえし。こっち来てみれば、俺の庭で魔縁が調子ぶっこいているし、最悪な夜だな」
耳をほじり、うんざりとした面持ちの藤馬には――知らずと、吹き出してしまった。
「藤馬さん、物探しの名人なんですね」
「あ゛?」
好きな場所に行ける移動手段を持つならば、『渉の携帯電話』を目標にすれば、山に落とした黒い携帯電話にもたどり着くだろうが、そんな虫のいい話よりももっと――都合いい話をしてしまおうか。
「藤馬さんは、厳しくて優しい人ですものね」
それは、渉にとってのご都合主義(思い込み)。
昼間、どうしてあの怪異から逃げきれたのか、ずっと疑問だったわけだが。
「僕、もう死にたくなんかないと、叫べるようになりましたよ」