わたるんといっしょ


――どうして、『自縄』だと?


包帯の下はどうあっても見透かせない。


しめ縄の痕があるのは当たりであるものの、普通、首に包帯となれば『自傷』と思わないのか。


リストカット、アームカット等が広まるならばなおのこと、自殺志願者は『自傷』(切傷)を作るとの固定概念が生まれてもいいし。

第一、首吊って生き残れる者などごく僅かであろう。


それらを無視して、はっきりと渉のしめ縄(痣)を当ててきた、眠たそうな眼は、いったい、“何を見ているのか”。


そこを疑問に思ったのは言葉にしてからだが、男は渉の言い分を聞くなり、刃と共に手を離した。


「え、えぇ?自分で首吊りしたわけではないのですかっ」


まさかと焦る男。話は通じるらしく、ここは何と切り返すべきか考えていれば。


< 274 / 454 >

この作品をシェア

pagetop