わたるんといっしょ
唯一鋏らしい部分は持ち手の指環あたりなのだが。
「おや、『死神の鋏』だなんて、少年は『死神』を知っているのですかぁ」
渉の考えは当たりらしく、男が“片割れ鋏”を縦に掲げた。
「確かにこれは『死神の鋏』――もっとも、包丁と代わりない切れる刃に成り下がりましたが……何で、“生きている少年”がこれをご存知なのですかねぇ。いやぁ、不思議ですねぇ」
男の言葉に、しまったと唇を結ぶ。
“生きた人間とは関われない”は、死神の鉄則にして、戒め。
もしもここで、渉(生きた人)と関わる死神がいるとバラしてしまえば、五十鈴の風当たりも悪くなるのではないのか。
黙るに限るが、訂正の言葉も必要。しかしながら、男は勝手に答えを出してしまう。