わたるんといっしょ
「なるほど……ここら辺は、五十鈴嬢が受け持つエリアですからねぇ。ああ、彼女ならば人間とも関わりそうな。いやぁ、あの方は昔から、お人好しですからねぇ」
懐かしげに語る男にバレてしまったものの、その口ぶりは五十鈴への叱責とは無縁であった。
仕方がないと許容しているような。死神の掟を破ろうとも、“当たり障りない”とこの男は言う。
「あなたは、いったい……」
誰なんだと問えば、男の口端が引き伸ばされる。
「名を、川堀(かわぼり)。“元死神”です」