わたるんといっしょ
「――初めは、たわいない“慈悲”でした」
絡めとったパスタを口に入れず、子供遊びのように、ぐるぐるフォークが回される。
「人の死に際に、半ば、立ち会うような死神(わたし)たちは、今まで様々な“死に様”を見てきました。
事故、他殺。そうして、自殺。――私には、自殺する方々が、どうしても、“好き”になれなかった」
食べるつもりはないのか、フォークを置いた川堀が、指を組む。
「命をどうするかなど、所持者の好き勝手だ。活殺自在だなんて、生きた人間に関わることができない死神が思うべきではないのに。私も、鬼にはなれなかった」
血も涙もなければ良かった、そう悔やむような声だった。
「五十鈴嬢のような優しさ――あのような性格ならば、どんな者であっても、死ぬ輩を救うべきであり、それが真の慈悲であるというのに……、私は、あの方のようにはなれなかった」