わたるんといっしょ
「……」
押し黙るしかない。問われること全てが、“想像したくないこと”なのだから。
「幼子は、“生きたがっていた”。手足をバタつかせて、空気を求めて、鯉のように大きく口開け、沈むようならば、また手足を……、その繰り返し。なのに一向に助からなかったのは――手を繋いだ母親が、どんどん前へと進むからです」
失笑する。
馬鹿でも見るような川堀の目付きは、思い出に向けられていた。
「“繋いでいた”とは、おかしいか。もはやあれは、連れ去りだ。生きたがっていた幼子を死地へと連れていく。無理心中だなんて美談用いれられそうな言葉がありますが、あれは、子殺しの母親だった。どう見ても。
そうして見ているだけの私も、母親と同じ共犯。――幼子は、事切れました」