わたるんといっしょ
死神の戒め。
だが、見殺しにしたのは違いないと、痛める心を持っている。
五十鈴のような優しさなくとも手を差しのべたくなるというのに、爪で手のひらを抉るほど拳を握りしめた川堀を想像した。
「母親も同じくして、全身が海の中に。これで死ぬのならば、二人の魂を次代転生がため、肉体と別つ死神の役目が待っていますが……待っていたのは、海から這い上がってきた母親でした」
「……、パパ」
ピクシーの頭を撫でつつ、渉自身も胸にある思いを押さえ込もうとした。
「冷たい海に子を置き去りのまま、浜にあがった――死から逃げてきた母親ですが、溺死なくとも凍死。そんな、“予期せぬ死”に、あの母親は抗おうとしていました」