わたるんといっしょ
気を取り直して、さっさと済ませようとわたるんは、休めた足を進めようとし。
「ちょいと、そこのわたるんさん」
なんか呼び止められた。
ニュアンス的には『ちょいと、そこのおにいさん』と女性が手招く感じなのだが。
「そこにいいもんありますぜぇ。俺といいことしねえかい?」
野太い声にわたるんは思わずしかめっ面をした。
「なにやってんですか、溝出(みぞいだし)さん」
「ばっ、ち、ちち、ちげーしっ!俺はあの、いけめんな大妖怪様とはまったく違う、ただの美青年だしっ!」
と言いながら、ハッピを着込み、頭に置いた七三分けヅラを整える……骸骨。
「溝出さん、肝心なところが隠れていませんよ」