わたるんといっしょ


「……」


「『下らない』?」


「……」


「『馬鹿馬鹿しい』?」


「……、やめてください」


人の心を見透かすような真似は。


「あの人が、死のうとしているのは変わりないんですから」


笑い話で済まされない。それこそ、命の軽視に繋がるだろうから。


「何があっても、例え詐欺でも、身投げする人を見捨てるな、ですか。――ますますもって、少年の面影は」


言いかけて、言葉ごとコーヒーを飲む。


「あ、みてみて。あれコウモリじゃない?」


「へえ、珍しいねぇ」


店内にいた女子高生の会話。珍しいの言葉で大概の客が外を見ただろう。


また蝙蝠かと、渉とて見れば。


「――さあ、では。いよいよ、“同情してはいけない死にたがりや”の真骨頂ですかねぇ」


皮肉げに、嘲笑するかのように立ち上がった川堀だが、その顔色は悪いままだった。


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