わたるんといっしょ
「落ちたら、痛いじゃないですか」
死ぬか死なないかの問題じゃない、無視できるか出来ないかの問題。
誰かが痛い思いをするぐらいなら、自分が傷つきたいと思いますよね――?
「五十鈴、嬢……」
そんな渉に、かつての憧憬を感じた川堀は、狼狽えるように息を呑む。
そのせいで、間を置いてしまった。
走り出す渉の腕を、掴み損なった。
「――、まっ」
そんな言葉すらも、彼には――彼女にでさえも届かない。
何てことはない、彼(彼女)は、大のお人好し。
見るのはいつも、わき目もふらずに、迷いなく真っ直ぐ駆けるその後ろ姿。