わたるんといっしょ
「ふざくんなっ、いかさましてんじゃねえぞ、こぞおぉ!」
「していませんよ」
「んなはずねえだろうが、だって――」
「いかさまだと思うなら、今この場で箱の中のクジを見てくださいよ。『特別賞と書かれた紙』は一枚しかないはずですから、必然的に、僕が特別賞を引いた後、その箱の中にはハズレクジだけでしょうから」
「だ、だからだな」
「仮にも僕がいかさまをして特別賞を引いたとしても、箱の中に『特別賞と書かれた紙』がなければ、溝出さん、それはあなたもいかさましていることになりますよ。『最初から、特別賞なんかなかった』といういかさま――冬月君たちに言うべき悪さですね」