わたるんといっしょ
間違ったことを、する。
「――、助けてという言葉は、無視するためにあるんじゃないんですよ」
川堀さんを背に、進む。
「僕も、彼女も、無視できないお人好しなものでしてね」
座る男性の“隣に立つ”。
「なに、を……っ!」
「あなたと同じ、身勝手で行きますよ」
一度だけ川堀さんを見る。鬼気迫るような顔で、こちらに走り出すあたり、僕のしたいことが分かったんだろう。
叫ばれた。
でも、ごめんなさい。
「他人が落ちるのを見るのは、辛いから」
だからと、宙に飛んだ身では、あなたの声も届かない。
覚えある感覚で、幼き日を思い出す。
ここよりも、もっと高い春夏秋冬家の石階段から、身を投げたあの日を。