わたるんといっしょ


一気に収縮する心臓。空気圧という膜を破り、呼吸する間もなく、地上へと激突する。


「……っ!」


はずだった。

視界が地面でなく、羽ばたく黒に占領された。


空中にての激突。けたたましい羽音に比例したそれらは数があり、僕の体を受け止めようとするが、小さい。


スイミーという読み物を思い出す。群れて巨大な魚になるという物語。


集まった黒い陽炎は、よくよく見れば、小さな生き物。


蝙蝠だと気づいたのは、一匹だけ他の蝙蝠とは異彩を放つ、僕の顔ほどに巨大な物を見たからだった。


赤い金魚よりも目立つ。大きい蝙蝠は、群れから離れ――


「ぐっ!」


僕とて、蝙蝠の壁(群れ)を突っ切った。


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