わたるんといっしょ


(六)


突飛なこととは言え、考えなしで飛び降りたわけではなかった。


人が目の前で落ちるさまは、なかなかに衝撃的である。ドラマやなんかで使い古されたシーンにせよ、飛び降りる輩を間近で見るものは、果たしていったいどの程度か。


件の男は、逃げた。
飛び降りというショッキングなシーンを目の当たりにして。もともと川堀に恐怖を感じていたため、その川堀が、渉追って身投げすれば、退路を確保できる。


今頃は家に隠るか、警察なりに通報しているか。どちらと判断できないのは、もう既に、渉たちは帰路についたからであった。


「泣き疲れて眠るだなんて、可愛いところがありますねぇ。いやぁ、出来ればずっとそうしていてほしいですねぇ」


「……、ピクシーさんに恨みでも抱きましたか」


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