わたるんといっしょ
「誠一郎くんが悪人と決まったわけでは」
「なら、わたるはんはあいつとは違う。得体の知れないもんを背に置くのは同じやもしれまへんが、それ以外は違う。わたるんはんはそれだけで親近感芽生えるんやろうが――僕が好きなわたるんはんはたった一人どすえ」
好きな人の匂いで気でも触れたかのように、冬月の瞳孔が揺れる。
「あの“梟”(母親)に似てのお人好しでも、危ないことに首突っ込むのは心配やわぁ。しかもそれが、『溝の匂い』やなんて……」
久々に露となった素顔は男か女かも分からない中性顔。渉よりも詰襟学生服が似合い、そうして夕暮れに相応しい肢体が渉の体にまとわりつく。