わたるんといっしょ
「でーも、わたるんはんに何かするんなら切ってええよね?」
蜘蛛切の柄を握る冬月。泣き顔が嬉々となる。
「危ないことになるんなら、予め僕が切っておけばいいっ!みんなみんなみんなっ、僕の愛しい人に近づく奴は――細切れになって犬に食わしてやるよぉ!」
渉を押し退ける左手。そうして右手で抜刀された蜘蛛切。
銀に反射する橙色。されど刃先には黒い異物が映り込む。
「なっ」
押された勢いで屋上のフェンスに背をつけ、目を見張る渉。むわっと広がる、水と藻が混じりあう『あの匂い』。
側溝からそのまま出てきたかのような汚泥(塊)が、蜘蛛切によって両断される。
空中ではミミズのように形を持っていても、地につくなりぐちゃりと臓物のように拡がる。