わたるんといっしょ
「わたるんはんの優しさ、踏みにじるんやねぇ」
そういって、吐瀉物のように拡がる泥を冬月は踏みつける。
「そんな……」
辻神の姿は屋上にないものの、この汚泥(触手)が自分たちを狙ったのは明白。
「わたるんはんのお人好しに対する答えが、これどすえ」
馬鹿にしているわけではない、純粋に渉の甘さを『可愛い』と見る冬月は肩を震わせた。
「クハッ、わたるんはん、嫌いになってもええんよぅ?煩わしかったんやろ、救われたくもない奴にしてみたらわたるんはんの優しさは毒やもん」
「僕は……」
花見の時から――辻神についての相談を受けてから何とか出来ないかと、渉なりに情報を集めてきた。
あの日、桜の下にいる辻神の目が――後ろの怪異ではなく辻神自身が助けてほしいと叫んでいる気がして、背けた目を彼に向けたのに。