わたるんといっしょ
「わたるんはんは、僕だけを見ていればいいんだ」
鼓膜を揺らがす声で目の焦点が一つに絞られる。
「よそ見したらあかんどすえ。“傷つく”さかいに」
休むことなく猛威を奮う蜘蛛切は、休む暇なく敵が襲いかかるが故に。
最初は冬月を狙っていたようだが、触手の口が渉に向けられる。
「僕だけを見ていれば、傷つくことなんかない。僕はわたるんはんを愛しているのだから……!」
渉の盾としてなりたつ冬月。自分とそう変わらない背中のはずが、雄々しく凛々しく、発せられる一字一句に嘘はないと背が語る。
「お願いしてえな、わたるはん。この刀は、わたるんはんのために使いたい」