わたるんといっしょ


「……」


稲光する刀。
渉の学帽を被る冬月が面を捨てる。


「わたるんはんのためだけに、僕はここにいるんや」


反射的に投げられた狐面に群がる触手を一気に切り伏せる。藻により汚染された学ランは不快感しかないが、脱がれることはない。


「……」


「だんまり、どすか。なら勝手にやりますえ」


学ランの外ポケットより、冬月が取り出したのは一枚の札。


「切るだけが妖怪退治と思うなや。姉さんの真似事やけど、僕のはえげつないどすえ」


手のひらから舞った紙。風なくとも宙を漂い、狐面と同じく触手の餌食になる手前。


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