わたるんといっしょ
「渾沌(こんとん)」
広がる波紋は冷水の一滴。ただの一滴で、全てが揺らがされる。
事は刹那。
触手全てが、“喰われた”。
「木乃伊取りが木乃伊に、とよく言うやろ」
にちゃにちゃと紙だった物には口があり、汚ならしく咀嚼音を鳴らす。
「犬……」
赤い毛をした犬と渉は見たが、その犬には足がなかった。
胴体と口だけの蛇のような生物に冬月は近づいた。
「僕の式神どすえ」
禍々しく不気味な生物は、冬月の心の中でも表していたか。口にあったものを呑み込んだ犬は、自身の尻尾を噛む。
「とんだ馬鹿犬やけども、足がないから毎日腹ぁ空かしているさかい。悪食の大飯喰らい。こーんな泥でも喜んで食べるんや」