わたるんといっしょ
渾沌と呼んだ犬の頭を踏みつける。尻尾を噛んだままだ、踏みつけられた拍子に犬は自身の一部を噛みちぎった。
「渾沌、足が欲しいか」
尻尾を噛みちぎった顎が、縦に上下する。
「なら、食べぃ。この泥だけどすえ。他ぁ食ったら――まあ、わたるんはん以外なら大した問題やないやろし、とりあえず、襲ってくるやつ、全部喰え」
冬月の手には、『足』と書かれた紙。犬の胴体にそれをつけ、三言口を動かせば――本来あるべき体と変異する。
四本の足は、毛がない人の足。更に不気味となったちぐはぐな体に渉は鳥肌を立たせた。
――これが。
冬月本来の力。
化物を使役し、化物を狩る者。
「終わったら、いっぱいわたるんはんに撫で撫でしてもらわなきゃ」
それだけを胸に、冬月は黒の無尽蔵へと駆け出した。