わたるんといっしょ
頭を使った触手が冬月の背後に回り込もうが、縦横無尽に移動する渾沌の顎に噛み砕かれる。
腹を空かした獣と、痛みを知らない鬼。修羅道の生き物が怪異をただの雑魚(虫)に格下げする。
「ふ、冬月くん、もう……!」
そんな冬月を止めようとする渉だが、自身の声は冬月の高揚ぶりに拍車をかけるばかりだった。
「渉、待っててね!いっぱい撫で撫でしてもらいたいから、僕がんばるよっ!ああ、兄さんにも言おう!兄さんも渉が大好きだもんっ。その渉を守れたって言ったら、兄さんにも撫でてもらえるっ。
誉められたい誉められたいっ、いい子だって、大好きだって、兄さんと渉の口から言ってもらいたい!」
経験上、京都弁が剥がれた冬月は手がつけられない。兄である秋月ならば上手いいさめ方を知っているのだろうが、それが出来ていれば冬月はここまで壊れたりはしない。