わたるんといっしょ


下手をすれば、溝の匂いよりも酷い惨事。木乃伊取りが木乃伊と言うが、それこそ冬月に当てはまるのではないかと知る。


知った時には既に遅い。渉の声も届かぬ粋にまで、冬月のアドレナリンは脳内で荒波を立てている。


「っ、冬月くん!」


声が駄目なら手で、と冬月の体を掴もうとするが――獣が間に入る。


人間の足を持つ赤毛の犬。涎と泥が混じった液体を流しながら、渉にまで牙を剥いた。


どうやら先の止めだけでも“敵”と見なされたらしい。唸る喉笛は、人を食せる喜びを歌うように甲高く。


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