わたるんといっしょ
「これだから、犬畜生は」
主人の刃が目に刺さるものならば、より悲痛に鳴いてみせた。
「学習せぇ、犬。僕の言うことが分からへんの?足切るだけじゃなく、目も潰してほしいん?
わたるんはんに牙剥くなや。ああ、わたるんはん、そないに震えて。堪忍なぁ。躾てんやけど、犬やから馬鹿なさかい」
蜘蛛切の先にはビー玉のような硝子体。咽びなく渾沌であったが、渉に詫びたいのか頭を下げる。
主従関係がはっきりしているにせよ、酷い仕打ちに物申したくなるが――
冬月の死角を守る渾沌に出来た隙を、怪異は見逃さなかった。――つまりは。