わたるんといっしょ


「お節介の阿呆んだら。本音をひた隠しにして、決められた余命の中、何をやっても意味ないと思っていた、どうしようもない奴“でした”」


渉の言葉を聞くのも嫌になったか、誠一郎の影が鎌首をもたげる。開けられた口は、底なし沼を彷彿させる。呑まれたら最後、抜け出せない。


「ひた隠しにしても分かってしまうんですよ。みんな優しすぎるから。距離を置いても近づいて、間違った道に行こうとしたら手を引いて、一緒に笑おうって言ってくれる――本音を言ったら本音をぶつけてくれる人に出会ったら最後」


絶体絶命でも笑ってしまったのは、思い出してしまったから。


「それから世界は、まんざらじゃないって思えるんだ」


諦めを決めつけにしてしまった世界で感じた、幸せ。悪いことばかりじゃないと笑ってしまえば、もう、“みんなの仲間入り”なんだ。


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