わたるんといっしょ
「調子に乗りすぎどすぇ、辻神。怪異なきゃ雑魚なくせして、どこぞの骨じゃあるまいし。ああ、骨以下やわぁ。少なくともあの骨は、僕の大切な人は傷つけんさかい」
踏む足に力を加えれば、誠一郎の口から苦悶が零れる。
一見すれば誠一郎が不利に見えるが、渉からしてみれば冬月の方が満身創痍。
左腕は柳のように力なく垂れ下がり、脇腹の傷から滴る血の量で傷口が開いているのを知り、息の荒さを隠しきれていない冬月は、いつ倒れてもおかしくなかった。
「なんでこないなしょーもない奴が天神学園におんやろか。兄みたく退学にしといた方がええやろうに、ほんに甘ちゃんが多いなぁ、ここは」
蜘蛛切の切っ先は誠一郎の喉へ。いつ切られてもおかしくない数センチの間合いだった。