わたるんといっしょ
踵を返す誠一郎。
揺れた前髪が、物悲しげな瞳をちらつかせる。
「その卒業生に言っておいてくださいよ。“最初に否定したのは、そっちだろ”……と」
「誠一郎くん」
「『辻神』と呼ばないあたり、春夏秋冬先輩は優しいんですね。俺をきちんと、『誠一郎』と見ていてくれる。“最初が、春夏秋冬先輩だったら良かったのに”――」
去る足は止められない。けれども、耳はこちらに向いている。
「最初でなくとも、出会えたじゃないですか」
僕(それ)じゃ駄目ですか、の問いに誠一郎は足音を返すだけだった。