わたるんといっしょ
(二)
犬童に言われた通りにしようかと、一時間前までは思っていた。
深夜零時には寝床につく渉が、眠気覚ましに外へ足を運んだのはそのためである。
元神社であった春夏秋冬家。その名残たる門扉前に座る渉は、本殿から参道を意味もなく眺めていた。
春夏秋冬家の庭には至るところに風車が植えられている。
作物のように規則正しいものあれば、適当と言えよう場所にもちらほらと。どんな場所にあろうとも、風車はみな“まったく同じスピードで回ってみせる”。
「藤馬さんの結界も、ダメだったんだよな」
風車を植えた張本人を思い描く。
春夏秋冬家に『悪いモノ』が訪れぬようにある風車であるが、夢の中にまで効果は及ばないとは六日前から分かっていた。