わたるんといっしょ


おかしなことばかり言う渉に、好美は眉をひそめた。


「何か言ったの?ごめん、ボーッとしてて聞いてなかった」


授業中に先生の話を聞き逃すのと同じ、意識していなかったと好美は言う。


それに対して、渉はいえと携帯電話をしまった。


「好美さんに付き合わせてしまって、何だが申し訳ないと言ったんです」


携帯電話の代わりに取り出されたのは、黒い手帳だった。


悪いと言いつつ、右手にペンを持つ渉は好美の方を向いていない。


都市伝説探求者たる彼が、何かある度にああして手帳に何か記入することを知らない好美ではないが。


――なんか、最近。私と話している時によく書くよな。


偶然、思い過ごし。それらの可能性もあるから、ついぞ、渉には何を書いているのか聞けないでいたが。


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