わたるんといっしょ
「なに、書いてるの?」
いい加減気になると、手帳を覗きはせずに、口で言う。
書き終わったか、手帳を閉じた渉がこちらを向いた。
「おいてけぼり」
「え……?」
「そう言う人は、やがて、“どこへも行けなくなる”んじゃないかと、思うんです。周りがみんな、“無くなります”から」
――たまに渉くんは、分かんないこと言うよなぁ。
今に始まったことではないので、もはやそれにとやかく言うつもりはないも、自分の質問がはぐらかされていると、少しムッとしてしまった。
「なにそれ?」
「生きた心地がしない人の停滞の末路は、ここから消えることに繋がる――今書いていたのは、そこまでの“過程”の話ですよ」