わたるんといっしょ
そんな最中、せせらぎに合わせるかのような乾いた音が聞こえてきた。
ず……、ず、ずず……。
「来ましたね」
渉にも聞こえたらしく、満を持すように立ち上がり、河川敷を見下ろしている。
こちらが緊張してしまうような真剣さ。何をそんなに、と好美は問いかけそうになったが。
――そうだ。
思い出す。
「ひきこさん」
ず、ずずずずずずず――
都市伝説探求者が求めた、今宵の怪異が、荒れた地を歩いていた。
「ひっ」
渉と行動を共にして二ヶ月。様々な怪異を見てきた好美でも、化物が怖いという概念はなくならない。
いつか見た――そう、渉と初めて出会った日に見た、口裂け女みたいな風貌だった。