わたるんといっしょ
おかしな話、追われた女が『誰か』を求める一方で、その『誰か』も『他人(誰か)に期待してしまった』。
追われた女は、男に襲われ、翌朝、惨たらしい姿で発見されている。
「助けてっ、誰かあぁ!」
だからといって、好美の叫びを無視し続けることは許されない。
塀向こうの名も知らぬ家に向かって叫ぶ。二階の部屋の明かりはついているのに、その窓から様子を窺う人影はない。
「つぅ……!」
――聞こえているくせに!
八つ当たり気味にアスファルトを叩いた。
手の腹から熱い痛みが伝わってくる。
「聞いてないだなんて……」
――ない、のに。
言いながら、ふと思う。
聞いてないわけがない。まさか難聴者揃いの住宅街と言うわけでもあるまいし、好美の叫びをわざと無視しているわけではないとしたら――