わたるんといっしょ




――私、いつから人と話していない?




学校の同級生、先生、父親、隣人。誰とも口を聞かなくなったのは、いつからだったか。


「ちが、ぅ、だって、渉くんが」


いるじゃないかと、好美はその真実(考え)から目を背ける。


その渉が――唯一の友人が大変なんだと、好美は下を向いた顔を上げる。


外灯によって浮き彫りとなった影。ただ――


「え……」


“長い”。
身を小さくまとめた自分の影――頭の先から余分な影が伸びていた。


細い影。
そうして、後ろからの笑い声。


自分の影に誰かの影が被さっていると好美が気づいたのは――


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