私を壊して そしてキスして

「香坂さん。知っててここにいるの?」

「えっ? 何を?」

「ごめん。いいや。
あのさ、あんまりおすすめしないよ、ここ。

勤めておいてなんだけど。
僕もできれば変わりたいなんて……。

おっと、余分なおしゃべりだ」



エレベーターから朝、会ったっきりの人事部長がやってきたのを見て「それじゃ」といって出て行ってしまう。


「香坂くん」

「はい」

「どうかね、仕事は」

「はい。お客様をお繋ぎするだけでなく、他に何かできることは……」

「いいんだよ、君は。愛想よくしていてくれれば。

そのうち営業のほうで手伝ってもらうことができるから。
そっちがメインなんでね」

「そうなんですか」



受付は人がいないから急遽回されたんだ。なんて安易に考えた私。

その手伝いが、何を意味するのかも知らずに。



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