バイナリー・ハート
 小鳥ロボットも搭載している、人を傷つけてはいけないとか人の命令を聞かなければならないとかいう、最優先の命令だ。

 人工知能搭載のロボットは、必ずインプットする事が法律で義務づけられているとロイドから聞いた。
 ヒューマノイド・ロボットも、当然ながら義務づけられるだろう。

 だが、どうしてそれが邪魔になるのかわからない。

 首をひねる結衣に、ランシュが静かに問いかけた。


「人間には、そういうもの、ないよね?」


 ロイドの思い描くヒューマノイド・ロボットが、なんとなく分かった。
 見た目だけでなく、人間とそっくり同じロボットだ。

 人の命令に従って行動するだけでなく、自分で考え、動き、感情を持ったロボット。

 雑誌に載っていたロボットには、感情がないと言っていた。

 確かに人とそっくり同じにしようと思えば、絶対命令は足かせになるだろう。
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