騙されてあげる~鬼上司に秘密の恋心~

2.気遣いが胸の痛みに




「STAR☆日本店」を潰されないために、従業員全員が一丸となって必死に働いていた。



常にスタッフルームはピリピリとしている。



今年中に何としてでも売り上げを伸ばさないと。

あと8ヶ月もないから、もっと頑張らないと。


そんな気迫が伝わってくる。




そして、あたしがした“ある提案”は、ジョンによって順調に進められていた。

その結果が入ってきたのは、つい今朝のこと。




「麻菜!聞いて喜べ!」

「どうしたの?ジョン」



いつもテンションの高いジョンだけれど、今朝は一段と高い。


ジョンは興奮のあまりか、わたしの腕をペシペシ叩いてくる。




「ちょっと、ジョン。痛いんだけど、それ、やめてくれない?」

「あははっ、ごめんごめん!それよりビッグニュースがあるんだ!」



そして、あまりにも声を張り上げるものだから、周りの人が迷惑そうにこちらを見ていく。

ここは、駅のホーム。






< 102 / 519 >

この作品をシェア

pagetop