騙されてあげる~鬼上司に秘密の恋心~
2.気遣いが胸の痛みに
「STAR☆日本店」を潰されないために、従業員全員が一丸となって必死に働いていた。
常にスタッフルームはピリピリとしている。
今年中に何としてでも売り上げを伸ばさないと。
あと8ヶ月もないから、もっと頑張らないと。
そんな気迫が伝わってくる。
そして、あたしがした“ある提案”は、ジョンによって順調に進められていた。
その結果が入ってきたのは、つい今朝のこと。
「麻菜!聞いて喜べ!」
「どうしたの?ジョン」
いつもテンションの高いジョンだけれど、今朝は一段と高い。
ジョンは興奮のあまりか、わたしの腕をペシペシ叩いてくる。
「ちょっと、ジョン。痛いんだけど、それ、やめてくれない?」
「あははっ、ごめんごめん!それよりビッグニュースがあるんだ!」
そして、あまりにも声を張り上げるものだから、周りの人が迷惑そうにこちらを見ていく。
ここは、駅のホーム。