騙されてあげる~鬼上司に秘密の恋心~
「ねぇ?麻菜ちゃんからも言ってやってよ。秀平に」
「え?」
突然話を振られて、一瞬ドキッとした。
ちらっと仲森さんを見ると、彼もこちらを見ていた。
鋭く冷たい瞳の奥に、何処か温かみを感じる。
でもずっとは目を合わせていられなくて、すぐに反らしてしまった。
「おっ、開店時間になったぞ」
ついにデパート開店時間になり、お客さんがちらほら見られるようになった。
そして。
「いらっしゃいませ」
本日初のお客様の来店は、二十代前半の女性二人組だった。
このお客様を先頭に、いつも以上にお客様が入ってきた。
「何だか今日は大盛況ね」
「そうですね。やっぱり宣伝効果でしょうか」
「それとこの服が入荷してきたっていうのが大きいわよね」
幸さんはSTAR-MIXの服を指しながら言った。