騙されてあげる~鬼上司に秘密の恋心~
「まぁ、何が問題か少し探ってみるか」
「はい」
すっかり仕事モードに切り替わったジョンに続いて、店内に入っていった。
店内を見回ったところ、特にアメリカ店と変わらず問題はないようなんだけど……
どうしてお客様が入らないんだろう……
「ジョン、何が問題か分かった?」
「いや、全く。ディスプレイもあっちとそれほど変わらないし、接客にも問題はなさそうだし……」
ジョンもどうして客が入らないのか不思議で仕方がないみたいで、うーんと二人で頭を悩ませた。
どこが問題なのか分からない……
それなら、お客様の声を直に聞くしかないか。
近くにいた30代後半の女性二人組の会話をこっそり盗み聞きした。
「ここ、外国で有名なブランドだから買いに来たけど、私好みじゃないのよね」
「そうよねぇ、私もそう思ってたの。私たちが着るには少し派手すぎるわよね」
派手……?
そうか……
若い20代の女性が着るにはいいけど、派手すぎて着れないって言う人もいるんだ。
外国で受けがいいデザインが日本でもそうだとは限らないんだ。