騙されてあげる~鬼上司に秘密の恋心~
そして、冬が来て。
「もう無理だ。まともに歩けるようにすらならねー」
もう3ヶ月経つと言うのに、足を引きずってしか歩けるようにならなかった。
そんな自分に秀ちゃんは、日に日にイライラを募らせていった。
「秀ちゃん、もう少し頑張ろうよ。きっと歩けるようになるから」
「歩けるようになるって?それっていつの話だよ……」
「秀ちゃん……」
「たとえ歩けるようになったって、野球が出来なきゃ意味がねーんだよ」
秀ちゃんにとって野球は全てだったんだ。
「もう俺に、野球は出来ねーんだよ!先生にも言われた。もう俺のことなんて放っておいてくれ!」
初めて秀ちゃんはこんな風に、弱音を吐いた。
ここまで追い詰めたのは、わたしだ。
わたしを秀ちゃんが庇ったから。
わたしが秀ちゃんの夢を奪ったから。
わたしの顔を見ると、秀ちゃんは辛そうな顔をする。