騙されてあげる~鬼上司に秘密の恋心~
「麻菜、僕への扱いが年々ひどくなってるよね」
「アンタの扱いはこれくらいでちょうどいいのよ」
「ひでー。さっきだって、せっかく一緒に出勤しようと思って待ってたのに、先に行っちゃうし」
いじけたような表情を浮かべて、じーっとわたしを上目遣いで見つめてくる。
きっとこういうところなんだろうな。
女の子たちがジョンに堕ちる理由は、こういう母性本能をくすぐるところにあるのかもしれない。
わたしより年上なのに、子供っぽくて守ってあげたくなるような……
そんなジョンだから、何処に行ってもモテるんだと思う。
わたしは全然……何も感じないけど。
ジョンには悪いけどね。
「なんで一緒に出勤しないといけないのよ。どっちみち会社で一緒なんだから、いいじゃない」
「え~?僕は出勤時だってずっと一緒にいたい」
「わたしはいたくない」
「まあまあ、そう言わずに、ね?ということで、これからは一緒に行こう」