騙されてあげる~鬼上司に秘密の恋心~
たまに意地悪になるところ……
ますます彼にそっくりで。
違うと分かっていても、どうしても重ねずにはいられない。
「すみません。奢っていただいて」
「いいんだよ。俺が無理やり誘ったんだしね」
「でもそれは……荷物持ちの代わりですよね?」
「それは俺に付き合う代わり。付いてきてくれた時点でその条件は達成されてるよ」
流川さんはズルイ。
きっとこういう言葉でたくさんの女性を虜にしてきたんだろうな。
「あっ、ここです。わたしのマンション」
「ここだったんだ。家の前まで持っていこうか?」
「いえ。大丈夫です。今日はありがとうございました」
「お礼を言われることなんてしてないよ。俺も付き合ってもらったしね」
再び自分の荷物を持ってみるとかなりの重みがあった。
こんなものをずっと流川さんに持たせてたんだ。
何だか申し訳ない気がしてきた。