騙されてあげる~鬼上司に秘密の恋心~
「麻菜ちゃん、このお店気に入ってくれた?」
「はい!とっても。料理も美味しいですし、雰囲気もいいですよね」
「それはよかった。麻菜ちゃん、俺に対する表情がだいぶ柔らかくなったよね」
流川さんは食べる手を止めて、わたしをじっと見つめた。
「それって……俺に気を許してくれてるって受け取っていい?」
「え……?」
「ふっ、何でもない。本当にそうだったらいいなって思っただけだから」
少し切なそうに笑うと、流川さんは再び手を動かし始めた。
そんな彼を見たら、無意識のうちに口が動いていた。
「許してると、思います……」
心を開き始めているのは確かだ。
それがどうしてなのかは分からないけれど。
流川さんにただ惹かれているだけなのか……
それとも、あの人に似ているから気になっているだけなのか……