騙されてあげる~鬼上司に秘密の恋心~
5.あり得ない告白
流川さんとのデートの後の初めての出勤の日。
この日はちょうど彼も出勤日だったらしく、会社の最寄りの駅で偶然会ってしまった。
「おはよう、麻菜ちゃん」
「……お、おはようございます」
正直言うと、あれから流川さんと会うのに抵抗があった。
『君のこと本気になりそう』
告白ともとれるこの言葉を聞いてから、わたしはおかしい。
今も顔を見ただけなのに、胸が熱くなっている。
「そう言えば、今日は一緒じゃないの?」
「え?誰のことですか?」
「麻菜ちゃんと一緒に来たって言う……ジョンって人」
「あぁ……いつも一緒ってわけじゃないですから」
流川さんは全く気にしてないみたいだった。
わたしばっかり意識して……バカみたい。