騙されてあげる~鬼上司に秘密の恋心~
「おはよう」
わたしの頭を軽く撫でた仲森さんは、スッとわたしの横を通り過ぎた。
「……お、はよう……ございます」
何事もなかったかのように、仲森さんは涼しい顔で会社に入って行った。
な、何だったの……今の。
わたし……仲森さんに頭撫でられた。
最近彼とあまり接点がなかったから、彼の突然の行動に戸惑いを隠せない。
そして、仲森さんの驚きの行動はこれだけにとどまらなかった。
「ねぇ、秀平のヤツどうかしたの?」
「分かんないです……朝からずっとあんな感じで」
仲森さんの行動に大学時代から彼を知る幸さんも驚いているようだった。
それもそのはず。
彼は今日一日何かとわたしに絡んできて、いつにも増して積極的なのだから。
「へぇ……ヤツもとうとう本格的に動き出したか。遅いっつーの」