騙されてあげる~鬼上司に秘密の恋心~
その時、自分の衣服が半分ほど脱がされ、胸がはだけていたのに気が付いた。
「きゃっ……なんで……!?」
「あっ、悪い。俺、焦り過ぎた、みたいだ……」
自分の状態に初めて気づいて、かなりの戸惑いを見せると、余裕のない表情で秀ちゃんは言った。
「ち、違うの……その、わたし……こういうの初めてだったから」
わたしの言葉に動きが止まり、驚きを隠せない様子の秀ちゃん。
そりゃあ、そうだよね……
24にもなって初めてなんて。
「麻菜……それ、マジ?」
コクンと頷くと、さらに目を見開く彼。
「え?じゃ、じゃあ、向こうでは?アメリカにいた時、彼氏とかは……」
「………いなかったもん」
彼氏は向こうにいた時、一人もいなかった。
だから、高校時代に秀ちゃんと付き合ってキスしたという経験しかない。