騙されてあげる~鬼上司に秘密の恋心~
「でも、秀ちゃんは初めてじゃ、ないよね……?」
ずっと思ってた、慣れてるって。
久しぶりにキスした時もそうだった。
少しだけ、昔のキスと変わっていたから。
「……確かに。初めてじゃない」
「………っ、だ、だよね……」
「大学時代かなり遊んでたし、彼女も、いた」
そうだとは思ってた。
思ってたけど、彼の口から直接聞くのって結構辛いな……
「でも、ずっと想ってたのは今も昔も変わってない。ずっと麻菜だけが好きだった」
こんなこと言ったら、昔の彼女に失礼だけど。
そう彼は続けた。
「秀ちゃ……っ」
秀ちゃんに彼女がいたって仕方がないこと。
わたしが勝手に彼の元から去って逃げたんだから、仕方がない。