騙されてあげる~鬼上司に秘密の恋心~
そう言われても、彼の実家に行くことにためらいが消えたわけではなかった。
車に乗って、数十分の道のりがたった数分にまで感じられた。
気が付いたら彼の実家についていた。
あれから7年。
わたしが住んでいた家はもう取り壊されていて、新しいマンションが建っていた。
そして、その隣には昔と変わらない秀ちゃんの家があって。
車を停めて外に出ると、ちょうど布団を干しているおばさんを見つけてしまった。
「お袋、ただいま」
「あら、秀平。お帰りなさい」
そして、干しかけの布団をそのままにしたまま、おばさんは慌ただしく家の中に入っていた。