騙されてあげる~鬼上司に秘密の恋心~
「麻菜ちゃん、よく来たね。さあ、上がりなさい」
「おじさん……」
久しぶりに入ったこの家は、とても懐かしい香りがした。
よくこの家に出入りしていて、わたしにとって第二の我が家みたいなものだったから。
「麻菜ちゃん、アメリカでの生活はどうだったの?」
昔、ご飯を一緒に食べさせてもらったこのテーブル。
久しぶりの椅子に座ってすぐ、おばさんが言った。
「え?おばさん、わたしがアメリカに行っていたこと知ってたんですか?」
「当たり前じゃない。麻菜ちゃんがアメリカに行っちゃって、寂しいわねってお父さんとよく話したものよ」